隠れ念仏ということばには、どこか人を惹きつける響きがある。 隠れるという行為に逃げ場と安らぎを感じるからだろうか。 そこに弾圧と殉教という歴史が加わると、受難者へのあわれみや強者への反発だけでなく、その熾烈な生き方にうらやましささえ覚えるのである。 その過酷な弾圧にもかかわらず、緊張した充足感に満たされていた。 極楽浄土という世界観が生きる美しい目標となったことは疑いない。 念仏が体制批判や造反の芽に映ったというより、極楽往生という「死の哲学」に対する曖や横目(取り締まり役人)の嫉妬や劣等感が、残虐な拷問や刑の執行を生み出したといえないか。
『ひむか伝承異聞』所収