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耳川

神武天皇を遡ってもミのつく神が多い。このミは単なる尊称では収まらない。ミミと発する一族がかつてこの地にいたのではないか。谷川健一はこの地名を海人族の痕跡とみた。鎌田東二は耳の語源を「身のなかの身」、生命を生み出す「実実」であり、「霊霊(みみ)」であったとする。「耳は神の出入りする通路であり、人体の中の人体、『身身』であった」(『身体の宇宙誌』) 人は自然界の音に耳を澄ませてきた。雷は「神鳴り」であり、神々の発生はまず「発声」であった。音に神の存在を聞き分けようとしている。神と人との関係が「語りー聴く」ことであったとすれば、耳族が耳を誇示したのも理解できる。

『ひむか伝承異聞』所収

二つの岩にしめ縄が張ってある

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