鵜戸という地名は、岩窟を指す「ウロ(虚)」からきていると思われるが、海鵜の棲息地にもなっており、鵜処という字もあててみたくなる。誕生も死も蛇神の助けなくしては困難と考えられていた。人の誕生に産湯を、死に湯灌を使い、満潮で生まれ、引き潮に曳かれて死ぬといわれる。生死に水や海が深く関わるのは、蛇神が水神、海神だったからである。産着や死装束につける三角形も蛇の象徴であった。波に洗われる洞窟の入り口は女陰であり、洞窟内は命を宿す子宮であり、吾平山は身籠もった妊婦の姿ととらえることができる。だからこそ、この鵜戸は「ウロ」であり、安産、育児の聖地となった。聖はつねに性とともに出現していたのである。
『ひむか伝承異聞』所収