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問いの連続性

前田ちよ子詩集『昆虫家族』

神が一匹の黒い犬としてこの世に現れる。そして人間の生活を犬の視点から眺めている。見られていることを人間も知っているが、それがいつもどうしようもない辛さや寂しさ、怒りなどにふるえている時であるという。やさしく愛され、慰めて欲しいと願っている時に、神はただ見るだけで、黙って通り過ごそうとする。その神(黒い犬)に対して石つぶてが飛ぶ。

 そのとき、神は何を思ったのか、という問いを読者に投げかけている。新鮮なのは神に対する疑問という逆転の発想である。この世からなぜ悲しい出来事がなくならないのかという問いを、神に対する懐疑という形で表現している。その問いを神の立場に立って考えようとしている。全能であるはずの神がなぜ黙って何もしないのか。神は何を考えているのか、という問いを自らの課題としてとらえようとしている。

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