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死と生成の静けさ

本多寿詩集『風の巣』

私たちは、不安と緊張の渦巻く社会、悲鳴を上げる地球に生きている。 容易に回答の見出せない不可解さの前に立ちすくんでいる。 身近な者の死、身近な自然の変異、分断される関係にさえ、単なる通過点のようにやり過ごしている。 死と生成のリアリティが消え失せて久しい。 古代人の霊魂観や死生観に興味を覚えるのも、想像世界に慰撫を見出し、そこにグリーフ・ケアの可能性を見出すからだろう。

 この詩集はとても静かである。樹木や草花、空や雲の動き、生起し、変転する鳥獣虫魚などが多彩なタッチで描かれる。 自然や日常の風景に問いかけ、思索を巡らし、内包する熱量を抑えながら、その響きは澄んでいる。 全体を流れるトーンは静かだが、私たちの記憶のなかに眠っている何かをゆり動かす力を持つ。

陽を受ける大きな枇榔樹の葉

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